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父よ母よ故郷よ

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  霜月 夕暮れの別離

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春のように穏やかで
暖かい小春日和の日もあるが
立冬を過ぎると
朝晩は寒さを感じる
秋も深まり 時は晩秋
霜が降り 月の終わりには
初雪が風化のように風に舞う
季節はあと少しで冬の中へ

秋寒身にしむあの日
菊の香りに包まれて父が逝く
冬の到来を告げる初霜の舞う中
まるで約束された旅立ちのごとく
漆黒の闇へ
とりたてて父と一緒に時を刻んだ記憶もなく
心ゆくまで語り明かしたこともない
殊寵された欣幸も
心に記すべき思い出もなく
ただひたすら
景仰と畏怖だけの存在だった
黙して語らず
峻険な目線で日常の俗事を鳥瞰した

別れの時
母は父の体にすがりつき
"私もすぐ行く すぐ行くから"と
絞り出すようにいつまでも嗚咽した
母にとって父はどんな存在だったのか

空疎な落涙の中で
現実を消火できない私に
父は母を通して語り掛けた
父は死して自分の人生を完成させたのか
行く秋の中にあり
生前の無情を詫びながら
私も父と同じ時を刻む
幾つもの季節を越えて
今年もまたあの日と同じ冬日和
時は今 暮秋の夕暮れ
紅葉散る・・・・


  母の香りと 母の行く手

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どうして母さんはそんなに透き通っているのですか
母さんの一生は何だったのでしようか
幸せでしたか
楽しかったですか
母さんはいつもひとりぼっちで
哀しいことばかりの人生だったように思いますが

母さん・・・と口にしたら
どうしてこんなに泣きたくなるのでしょうか

母さん・・もう頑張らなくていい
今日までいっぱい働いてきたから
もう休んでいいよ
痛みも苦しみもみんな忘れて
静かにしずかに目を閉じて・・・
もう頑張らなくていいから

雨蕭々と降り続く秋の夕暮れ
今・・母が逝きます・・・・


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